地下水はどこを流れているのでしょうか?

地下水は重力と圧力によって流れる方向が変わる

地下水とは、雨などが地中に浸透して、地中の隙間部分に存在する水のことです。地表の水は重力により、標高の高い所から低い所へと流れますが、地下水はこの重力だけでなく圧力によっても流れる向きが変わってくるのです。
たとえば、渓谷や町中でも時折目にする湧き水は、深い所から浅い所を通って地表面に湧き出ているので、下から上へ向かって水が流れているのが分ります。地形や地中の地質、圧力などによって、三次元的に流動するのが地下水です。

地下水のある場所 ~帯水層

雨水などが地中に入ると、地盤の隙間や岩盤の割れ目を流れていきます。地盤は砂・礫(小石)・粘土から構成されていますが、砂や礫が多い地層が隙間が多く、地下水が豊富にあるとされています。
この地層を「帯水層」と言い、この帯水層を見つけることが、地下水を探る手がかりになります。

帯水層1 ~雨水が溜まる浅い帯水層

地中には複数の帯水層があり、帯水層と帯水層の間には粘土層など水の通しにくい「難透水層」と呼ばれる地層で隔てられています。
雨水が浸透して地下水となるような浅い帯水層を「不圧帯水層」と言い、ここを流れる水を「不圧地下水」と言います。

帯水層2 ~深い帯水層と自噴井

不圧帯水層と難透水層で隔てられている深い帯水層は、上部の難透水層に対して上向きに圧力がかかっています。この圧力状態の帯水層を「被圧帯水層」と言い、ここを流れる水を「被圧地下水」と呼んでいます。
一般的に被圧地下水は標高の高い山につながっており、山の地表面から浸透してきた水が地下水となり、被圧帯水層の中を平野部まで流れています。
このため、被圧地下水には水源域の標高に相当する圧力がかかっており、下流の平野部で井戸を掘削すると、水が湧き出たり噴出することがあります。このような井戸を「自噴井」と言います。

帯水層3 ~深い帯水層でも「不圧地下水」

深い帯水層でも上に難透水層がなく、深い帯水層がそのまま地表までつながっていて被圧されていない場合には「不圧帯水層」と呼び、流れる水を「不圧地下水」と呼びます。

帯水層

地下水には種類があります

地下水の種類

鉱泉水

自噴(注1)する地下水のうち水温25℃未満の地下水で、溶け込んでいるミネラルによって、さらに種類が分かれます。

鉱水

自噴していない地下水です。ポンプなどで揚水した地下水で、溶け込んでいるミネラルによって種類が分かれます。

温泉水

水温25℃以上の地下水を言います。また温泉法第2条に規定される溶け込んでいるミネラルにより種類が分かれます。

地下水の種類

湧水

台地の崖下などから自然に湧き出している地下水を言います。不圧地下水・被圧地下水の区別なく自噴している地下水を言います。

浅井戸水

地上から掘削した際、帯水層一層目から揚水した地下水を言います。自由地下水とも呼ばれます。

深井戸水

地上から掘削した際、自噴する帯水層一層目を通過し、さらに深い帯水層2層目以降から揚水した地下水を言います。被圧地下水とも呼ばれます。

伏流水

河川敷や山麓の下層にある砂礫層(注2)を流れている極めて浅い地下水です。水の不純物が砂礫層によって自然に濾過されるため水質は良好で、上水道や酒造りに利用されています。また一般的な地下水と異なり、河川の流水の変動に直接影響されるという側面もあります。なお河川敷や山麓から離れた場所にある地下水は「伏流水」に該当しません。


注1) 自噴とは自然に湧き出している地下水のことです。

注2) 砂礫層とは荒い砂を含んだ層のことです。

地層によって含まれる水の量が違います

地層は、岩石が風化したり浸食されたものが運ばれてできた砕屑物(さいせいぶつ)で構成されています。
砕屑物には礫・砂・泥・粘土があり、粒の大きさによって呼び名が変わります。
粒の大きい礫の地層では、元の岩石の種類によって違いはありますが、一般的に水がしみ込みやすく浸透スピードも速いのが特徴です。
一方の泥や粘土の層は、粒が細かいため密度が高く、水を通しにくい地層となっています。

礫(れき)

粒の直径が2㎜以上のものを言います。粒が大きいため、よく水を通します。

粒の直径が1/16㎜~2㎜ のものを言います。水を通しやすい形状です。

粒の直径が1/16㎜以下のものを言います。水は通しにくいです。

粘土

粒の直径が5マイクロメートル以下のものを言います。水は非常に通しにくいです。

礫
泥